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バスキュラーアクセス作成

 血液透析は血液を取り出して、老廃物を取り除いて再度お体にお返しする治療になります。十分な老廃物を取り除くために、1分間に100〜300ml程度の血液を出し入れする必要があります。心臓から全身に酸素を運ぶ血管を動脈、それらの血液がゆっくり心臓に返る血管を静脈といいます。通常採血などに使用する血管(静脈)では十分な血液が取りだせず、拍動している血管(動脈)は出血を防ぐために体の深いところを流れており、直接刺すことは簡単ではありません。そのため血液の出入り口=バスキュラーアクセスが必要になります。
 
・シャント
 シャント=短絡路(近道)は動脈と静脈をつなぐことで、勢いよく流れる動脈の血液が静脈へ流れ込み、静脈が太くなります。その太くなった血管に針を刺すことで血液の出入り口とします。
 最も一般的な方法で、可能であればシャントを作成するのが原則です。
 
・人工血管(グラフト)
 シャントは動脈とつなぐのに適した静脈がなければ作ることはできません。血管が細かったり、よい位置にない場合にはそこを人工血管で置き換えてシャントを作り血液の出入り口とする方法です。
 シャントが作成可能な血管がない方に適した方法です。
 
・動脈表在化
 体の深いところに流れる動脈を、表面へ持ち上げ、そこに直接針を刺すことで血液の出入り口とする方法です。
 シャントや人工血管は、本来であればその先へ酸素や栄養を運ぶはずの動脈の血液が、近道をして心臓へ返ってしまうことになり、若干心臓に負担がかかります。動脈表在化は、もともとの血管の流れは変えず表面に持ち上げるだけですので、シャントや人工血管が詰まりやすい方、心臓の機能が弱い人に適した方法です。
 
 当院では基本的に外来での日帰り手術を行っております。合併症が多いなど、入院が必要な方につきましては適切な医療機関に紹介させていただきます。

 

バスキュラーアクセス管理

 シャントや人工血管は、使用しているうちに狭い部分(狭窄といいます)ができて流れが悪くなってしまったり、血液のかたまり(血栓といいます)ができて詰まってしまうことがあります。これらを早期に発見し、早めに治療を行うことで長期に渡る使用が可能になります。当院では下記のような検査を行い早期発見に努めたいと考えています。

写真 ・エコー
 血管の太さを測るだけではなく、血液の流れをみたり、流れている量を測ることができます。また造影剤アレルギーの方にも安全に行える検査です。


 

写真 ・3DCT
 造影剤を使用し、CTで撮影することで血管の映像を作り出します。様々な角度から血管の評価を行ったり、腕だけではなく肩から胸といった広い範囲の血管の確認ができます。


 

写真 ・血管造影
 血管に造影剤を流し、透視装置を用いて直接その流れを確認する方法です。そのままカテーテルを使用して、狭いところを風船で拡げる治療まで行うことができます。


 

カテーテル治療

写真
まず血管造影を行い、流れを妨げるような狭窄や血栓などを確認します。この場合、上の方に血管に細い部分が確認できます。


 

写真
血管の細い部分までカテーテルを進めて、バルーン(風船)を膨らませて細い部分を拡げます。


 

写真
細い部分が拡がって、血液がしっかり流れていることを確認して終了です。


 

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